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英語と日本語の会話で、ニュアンスの違いが気になる言葉がいくつかあります。「意味がある」と meaningful もその一つです。会話に「意味がある」が出てくると、とても興味が湧きます。面白いことに、意味について話すとき、日本人は他人のことについて話すことが多いのです。それで、別の人に関する話を聞きながら、目の前にいる話し手が大切にしている意味を探るという、間接的な作業をすることになります。
たとえば、仕事を辞めて大学院に行く人について「そんなことをしても意味がない」と言った人がいました。その人は、結婚して子どもを持つことが大切だと考えているというのが、すぐに分かりました。
雑談中、どの町に引っ越そうかと考えている人に、普段はおっとりしている友人が突然「そんなことをしても意味がない!」と叫んだので、びっくりしました。大都市の中に住むか、少し離れて住むかの選択を、値段との釣り合いで考えているようでした。話がそこまで具体的になると、友人が好ましいと考える生活が見えてきます。でも、ちょっと待ってください。その人が引っ越すわけではないのです。
他人を対象に意味がある・ない、の話をすることが多いのはなぜでしょう? また、大学院で何を勉強するの? あなたにとって大都市の魅力は何? といった質問をすることなく、いきなり自分の物差しで他人の考えや行動の意味を判断しがちなのも、奇妙です。
よく考えればちぐはぐなことを違和感なくできてしまうのは、相手の状況に自分を重ねているからかもしれません。友だちに後で後悔してほしくない、という思いもあるでしょう。また、年代や趣味など共通点が多いので、自分の考えが参考になるだろうと思ってのことかもしれません。
でも、人は本当にそれぞれです。そのことを、コーチングの仕事を通してつくづく感じます。同じ行動をしていても、その理由づけは人によって違います。逆に、理由が同じでも行動が違う場合もあります。それぞれの価値観や人生経験が違うので、意味に関する視点も違ってきます。
人が前向きに何かをすれば必ず意味が生まれると、私は確信しています。ですから、意味があるかどうかを悩む必要はない、というのが私の視点です。興味のあることや挑戦してみたいことを、調べたりやってみたりすれば、意味がついてきます。
次の行動について考えているとき、私たちは「意味作り」の準備をしているのです。ですから、意味のある・なしの判断はいったん保留にして、興味をもって質問し合えば、お互いの意味作りを応援できそうですね。
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